これは鯖(さば)寿司や鯖(さば)のきずし、サンマやアジの刺身などを食べた後 数時間から10時間後にかなり強い胃痛を来たします。病歴よりこの疾病を考え、内視鏡検査をし、胃内に約2cm長で、やや太めのタコ糸くらいの太さの白色の虫体を発見すれば生検鉗子という器具で摘出し治療は終了です(数分で終わります)。虫体は胃壁に刺入し周辺の胃粘膜は発赤し腫れていることがほとんどです。摘出時鉗子で引っぱるのに抵抗し結構あばれることが多いですが、ちぎれたりすることはありません。
食事を抜いておれば即座に内視鏡検査が可能です。食事をしておれば数時間後或いは翌日の検査となります。当院では年間50匹以上のアニサキスにお目にかかります。
アニサキスが十二指腸より奥へ入って腸壁に刺入しますと、腸壁の浮腫から腸閉塞をきたし開腹手術になることがあります。小生の医学部同級生(外科医)もアニサキスによる腸閉塞になり、自らが開腹手術を受けています。
なお鯖(さば)は酢でしめてもアニサキスは死滅せず冷凍で死滅します。(もちろん加熱でも死滅します。)アニサキス症の患者さんは、冷凍ものでない新鮮なものを食べたからなったともいえます。鯖(さば)寿司を食べるときは、アニサキスがいるかもしれないのでよく噛んで食べるのがコツです。また、刺し身では切り身を多く入れて料理(飾り包丁)するのもポイントです。
胃の虫"アニサキス"ほぼ実寸